あいは、孤独だった。

最愛の父親を亡くし、再婚相手も癌でこの世を去った。

横浜の街角で配られていた無料求人雑誌でAV女優の募集広告を目にしたのはそんなとき。

「したくないことはしなくて良いと言われ所属を決めました」

所属は五反田のAV事務所で、デビュー作品は人妻のナンパもの。

仕事帰りの人妻が夜遅くに街でナンパされマンションの一室で…。

現場はトラブルもなく和気あいあいとした雰囲気だった。

他の事務所の女優と仲良くなることもあり、以前抱いていたAVの怖くて怪しいイメージが完全になくなった。

「私も、撮影の時、ドキドキするので、少しだけ、お酒を飲んでいいと、言われたので、少しだけ、お酒を飲んで、演技します。飲んでは、駄目だったら、無理です。小さな猫が、狼に、変わるのです。」

子供時代は女の子なのに男の子ばかりではしゃぐやんちゃな女の子だった。

性に目覚めたのは、再婚しようとした彼に会ってから。

AV女優としては遅めの24歳だった。

幸せな結婚生活を思い描いたときもあった。

しかし再婚相手を亡くした今はお金がすべて。

生活はデビュー前よりだいぶ派手になった。

「今はお金一番の時代。お金のためになら何ににでもなれます。でも、またいい人に会えれば結婚したいと思うかもな…」

マネージャーは事務所行く度に違う人で、 事務所の他の女優と仲良くなることはなかった。

孤独感を紛らすようにお金稼ぎに邁進する日々。

取材中ぽつりぽつりと見せる笑顔の中にどことなく寂しげな雰囲気が漂う。

「これからＡＶ女優になりたい女性に必要な事？稼げると、思い、自分を変える事です。AVは稼げるって本当だと思います」

そう言ってまたぽつりと笑った。

カテゴリー:元AV女優インタビュー