AVスカウトと芸能スカウト、前者はアダルトビデオやグラビア写真集モデルのスカウト、後者はタレント、アイドルのスカウト、とスカウトする分野の違いと言えますが、AVスカウトは人があまりやりたくない仕事を斡旋し、芸能スカウトは人がぜひともやってみたい仕事を斡旋すると言うこともできます。
芸能スカウトが人がぜひやってみたい仕事を斡旋するのに嫌われる傾向があるのは、芸能デビューをえさに法外な登録料をとる、いわゆるスカウト商法が横行しているからです。
AVスカウトと芸能スカウトは、スカウトの方法にも違いがあります。芸能スカウトであれば、「○○プロダクションですが～」とまず名乗ります。そして事務所に連れて行って事務所の説明や、仕事内容の説明をします。
それに対し、AVスカウトは、「○○プロダクションですが～」とは名乗らず、普通のナンパのように「かわいいね、お茶しない？」ぐらいの声掛けから始まります。
その理由は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」（いわゆる「迷惑防止条例」※ページ下部【参考】をご参照ください）により、AVスカウト行為が禁止されているからです。
迷惑防止条例には、
・何人も、
・公共の場所において、
・不特定の者に対し、
・人の性的好奇心に応じて人に接する役務(性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな役務を含む)に従事するように勧誘することをしてはならない。
と定められています。
この条例の規定に違反して路上スカウトを行った人は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられます。
また、報酬を支払って路上スカウトをさせた人は、100万円以下の罰金に処せられます。

2010年6月30日にはスカウト会社「ハーツプロモーション」常務(32)=新宿区北新宿=をはじめとした同社役員ら計6人が逮捕されています｡夜の仕事をしている私の知り合いは、六本木で目の前でスカウトマンが逮捕されるのを２回見たと言っています。
AVスカウトした相手が女性の私服警官で、その場で逮捕ということもあります。

※また、職業の斡旋には、厚生労働省認定の「有料職業紹介者」の資格を取得している必要があり、無許可での職業紹介は職業安定法違反（無許可有料職業紹介）で逮捕される場合があります。

ナンパであれば問題はありません。
ナンパならば、誰も文句は言いません。文句を言うとすれば、ナンパされた女の子だけです。
ナンパして親しくなったら、一緒にカフェに行ったり、食事したりして、もっと仲良くなって、ある日、「AVやってみない？」と切り出します。
道のりは長いですが、これで１本のギャラが500万円級の大物AV女優を育て上げれば、月々40～50万円がスカウトマンにバックされます。
それが、３人ぐらいになれば、月々100万円超です。
ロトやパチンコ、競馬をやるよりも一攫千金。
ルックスに自信がある、しゃべりに自信がある、女の子が好き、女の子とエッチしたい、動機はいろいろありますが、実際の仕事は思っている以上に過酷です。
スカウトマンになるのであれば、それを生涯の職業にするぐらいの覚悟と熱意が必要になってきます。
それは、AVスカウトマンに限らず、どんな仕事でも同じではありますが…
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【参考】
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

(不当な客引行為等の禁止)
第七条
1項　何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
五号　次のいずれかに該当する役務に従事するように勧誘すること。
イ　人の性的好奇心に応じて人に接する役務(性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな役務を含む。以下同じ。)
ロ　専ら異性に対する接待をして酒類を伴う飲食をさせる役務(イに該当するものを除く。)
2項　何人も、対償を供与し、又はその供与の約束をして、他人に前項の規定に違反する行為を行わせてはならない。

(罰則)
第八条
3項　次の各号の一に該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一号　第七条第二項の規定に違反した者
4項　次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
五号　第七条第一項の規定に違反した者

(両罰規定)
第九条
1項　法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条第三項、第四項第五号若しくは第六号、第五項又は第六項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同条の罰金刑を科する。